◎■2007.05.03(木) 新橋SOMEDAY 稲垣貴庸 BIG BAND
久々のライブレポートです。今日はGW連休後半の初日。日本全国お休みなのでオフィス街のライブハウスの周りには、勤労青中老年男女の姿まったくなく、今日は少し寂しいライブになってしまうのかと不安な気持ちでSOMEDAYに7時半、到着。なななんともうすでにたくさんのお客様。全国から休みを利用して来てくださったお客様がたくさんいらしたそうです。本当に有難うございました。
2007年GWライブの模様を無知無定見の素人レポートでお届けします。ところどころメモ忘れて聴き入ってしまっているので飛ばします。コメントも素人の勝手な感覚で知識のないまま書いていますし、暗い中でのローガンメモのため、二日後の今日はすでに読み取れない箇所も多数。間違い多々あり、ご容赦ください。
オープニングはBig Swing Face。稲垣始めメンバー全員元気いっぱいのスタートです。今日のメンバーは、tpセクションが鈴木正則、岸義和、菊池成浩、伊勢秀一郎、tbはフレッドシモンズ、筒井弘之、パット・ハララン、btbに高橋英樹、asは澤田一範、今尾敏道、tsは佐藤達哉、庵原良司、bs竹村直哉、pf井上祐一、b佐瀬正、そしてLeader & Ds稲垣貴庸という、いつものように錚々たる顔ぶれ。
4曲目はLove For Sale。as澤田さん、tp菊池さん、ts庵原さんのソロが続く。皆さん気持ちのいい音とGrooveをつないで我々を乗せてくれます。そして稲垣のDsで起承転結メリハリ付けて全員揃ってのテーマに戻ります。このときのアンサンブルの気持ちよさ。ソロもいいけどアンサンブルの楽しさ、爽快感はやはりビッグバンドならではのもの。
今日の稲垣はいつになく、そう、いつになく、しゃべりが絶好調。といって、いつもの稲垣のキャラクターはそのままです。相変わらずソリストの紹介を時折忘れるし(彼の名誉のために一言。いつもではありません)、話の途中で「天然」が出て会場を沸かせるし、お客様もメンバーもそんな稲垣のキャラがうれしいようです。今日は、届いたばかりのディルジャンのシンバルの紹介で大いに語りました。彼のキャラクターの一側面、好きなこと、好きなものへの「のめりこみ」の深さです。嬉しくて嬉しくって語り続けるのです。単語を羅列しますと、コンスタンチノープルのヴィンテージオリジナル、ミディアムヘビー・・・・・。シンバルメーカー「ディルジャン」の歴史から、その音のすばらしさまで言葉の途切れることがありません。こちらは友人として、こんなに1人でしゃべくりまくっていいのかと心配なのですが、お客様は本邦初公開の稲垣シンバルトークに大喜びです。楽しかったです。お客様に感謝です。
そして、井上さんのpfソロからRound Midnightがスタート。美しく深いサウンドのテーマが始まりました。その後tp岸さんの熟練のソロ&テーマを短い時間ですが堪能。そしてas今尾さんの流麗なソロへ続きます。とってもいい音でした。その後は、稲垣のdsが作るGrooveに乗せてテーマへ。ソロがいいからメンバーの気持ちがひとつになってテーマが輝く。ああ、おいしい。稲垣がこの曲のあとで佐瀬さんのベースを紹介。何でも「電車通勤用」のショートフォームのウッドベース。とても歯切れがよく、それでいて深みのある音でした。ベースソロのフレージングも素敵でした。そして稲垣のドラミングがまさにリーダーとしてバンドを引っ張りエンディングへ。
次はGirl Talkです。井上さんのソロから始まります。グッとくるフレーズとサウンドです。これぞジャズ!と言いたくなる小宇宙です。そしてテーマが始まる。とてもジャジーで、曲のコンセプトどおりのやさしく、(素敵な女性の)かわいさ(ガキンチョではありません。すてきな女性のカワイサです!)をバンドのアンサンブルが紡ぎ出します。伊勢やんのフリューゲルホーンがまたチャーミングなんです。そうですね、彼女とマンハッタンの夜景を眺めながら幸せな時間が過ぎていく時の音ですね(スミマセン、経験ありません、ザンネン!)。
7曲目はウィントン・ケリーのKelly Blue。今尾さんのフルートです。これが絶品。SOMEDAYマスター森さんのミキシングもGoodで、今尾さんの音のキャラクター、息遣い、美しいフレーズをきっちりフォローします。途中から稲垣のドラミングが倍テンポとなり、バンドサウンドを軽快にリードします。このライトなGrooveもいいねえ。澤田さんのソロでタップリ遊ばせてもらいました。そしてやはり稲垣がこの曲のエンディングをきちっとしめるのです。そして1stのラスト、8曲目はKeep the customer satisfied。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして2nd setは名曲Georgia on my mindでスタートしました。ts佐藤さんのソロが朗々と響き渡ります。スケールの大きさを感じさせる、男のせつなさと言いますか、ノスタルジーを一瞬感じました。2曲目はBasically Blues。4曲目、Cotton Tail。
5曲目はスタンレー・タレンタインの曲(曲名忘れた)。庵原さんのソロが縦横無尽に吹きまくります。それができるのも、すばらしいメンバーが集まり音を作り上げている力強い土俵があるからこそと思うのです。一流のメンバーがそれぞれのソロでお客様を楽しませ、全員のアンサンブルでお客様を魅了する、その繰り返しがライブハウス全体を包んでいくビッグバンドジャズの魅力を稲垣バンドは持っていると僕は思うのであります。何より皆さん楽しそうです。会場に連れてくる友人達みんながビッグバンドって楽しいねえと、大満足で帰ってゆきます。メンバーの喜びをお客様が分かち合える、ジャズはやはりライブに勝るものなしですが、とくにビッグバンドはまったくその通りだと思うのです。
6曲目はas澤田さんの絶品名曲Alfieです。この曲は名手、澤田さんのためにあります。澤田さんのサックスの姿・形どおりの渋く、そしてやさしい音がゆったりと会場を包んで行きます。とにかく美しい。寡黙(な方と思いますが、実際はどうなのでしょうか)な澤田さんが実に豊かにこの曲のイメージを伝えていきます。隣のテーブルの女性がうっとりと聴き惚れていました。
7曲目はThe Juicer is Wild。鈴木正則さんのハイノートが最後まで響き渡ります。稲垣がこの曲の紹介で言ってましたが、ほんとに鈴木さんには大変な曲ですが、でも美しいメロディーをGrooveタップリに吹き上げる鈴木さんの力量には脱帽です。8曲目、ボブ・フローレンスのWillow Crest。稲垣の好きな3拍子の名曲です。tp菊池さんのハイノート・ソロが曲の輪郭をくっきりと描きながらサウンドを広げてゆきます。気持ちのよい音です。聴いてて嬉しくなります。そしてts庵原さんのソロが駆け抜けていきます。
ラストは、稲垣のブラシで全編をリードするCuteです。これもほんとに稲垣バンドの18番。稲垣の美しく、シュアなブラシサウンドの上で管の皆さんが気持ちよく楽しんでいるような気がしました。伊勢やんの音がまたこの曲にピターーーーッとはまるんですね。この曲はこの人のためにあるのではないかと思ってしまうくらいです。アンコールは、Love is here to stay。ああ、あっと言う間に終わってしまったGWライブ。ジャズの、ビッグバンドジャズの醍醐味をしみじみ実感できる、うれしい、とても充実した、楽しいライブでした。稲ちゃんそしてメンバーの皆さん、そして、GWのさなかにお越しくださったお客様、本当に本当にありがとうございました。
(2007.5.5 M.O.)